英語入試問題の作り方:慶応商


2017年 慶応大学入試問題 英語Ⅵ番より
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読んだことがあるような気がしたので、探してみた。

「インドのデリーでは、大気汚染で、一年に60万人が死んでいる...」という記事で、
The Economist Jan 16th 2016 からの引用だった。

第一第二パラグラフ(:大気汚染の物質、被害状況など、つまり、イントロ)は削除され、
第三第四パラグラフだけが、引用されている。
ただし、不思議な添削がほどこされ、論旨が見えなくなっているので、
投げ出したくなった受験生もいたのではないか。

つづく



以下が、原文です。太文字で、入試問題と一致しているところを示します。

On January 15th Delhi wrapped up a drastic two-week experiment to reduce car emissions by restricting road use to odd- or even-numbered licence plates on alternate days (a method occasionally used in Beijing, São Paulo and a dozen other cities). When the local government announced the scheme in December, many predicted failure. Proud car-owners would ignore it. Police would be too few or too corrupt to enforce compliance. And anyway, in a city with 2.9m cars but some 7m motorbikes and motorised rickshaws, and with many exempt from the ban such as taxis and other public vehicles, the effects would be minimal.
Yet it seems to have been a striking success. With teams of volunteers manning corners to shame would-be shirkers into parking their cars, and police out in force to slap on fines, few flouted the ban. Nor can anyone now claim to be unaware of a problem to which residents had become so inured that it has hardly featured in elections to date. Public transport was more crowded, but passengers were delighted to find traffic markedly lighter.

原文を完膚なきまで削ぎ落とす、受験生のレヴェルに合わせるため?の容赦ない所業。作者が見たら、不愉快極まりないだろうな。

エコノミスト誌 原文の訳

1月15日、デリーは、思い切った、2週間にも及ぶ実験を終了した / 車の排出ガスを減らすために / 一日おきに、奇数または偶数のナンバープレートに、道路利用を制限することによって(北京、サンパウロおよび他の十数都市で時々使われる手法)。
地方自治体が12月に計画を発表したとき、多くの人はそれは失敗するだろうと予測した。
(すなわち)
車自慢の所有者はそれを無視するだろう。
警察は数が少なすぎるし、賄賂に弱すぎるので、この規則を遵守させることはできないだろう。
そして、とにかく、290万台の車と、700万台のバイクと電動人(rickshaw)力車、そして、タクシーや他の公共車両のような、禁止令が免除されている車が多い都市では、その効果は最小となるだろう。

しかし、それは画期的な成功をおさめたようだ。
警察が大挙して出動し罰金を課したので、禁止令を無視する者はほとんどいなかった。
もう、だれもこの問題に気づいていないと主張することもできなくなった。
(この問題とは、)住民がまったく慣れっこになっているので、今まで選挙の争点になってこなかった問題のことだ。
公共輸送は前より混雑していたが、乗客は交通量が目に見えて減ったことを喜んだ。

つづく

◇ 慶応大学が書きかえて作った英文:第5文(問題文)
Moreover, the residents are now so accustomed to this rule that it will hardly be ( featured) in the upcoming elections.
さらに、デリーの住民は今ではこのルールにとても慣れているので、それはほとんど次の選挙の争点にはならないだろう。
(補注)a drastic two-week experiment が終了したと始まったのに、「このルールに慣れている」とはどういうことか。
「次の選挙」とはなんのことだろう。

◇ 上の英文に対応する、エコノミスト誌の原文
Nor can anyone now claim to be unaware of a problem to which residents had become so inured that it has hardly featured in elections to date.
今や、誰もこの問題に気づいていないと主張することもできなくなった。この問題とは住民がまったく慣れっこになっているので、今までほとんど選挙の争点になってこなかった問題のことだ。
(感想)入試問題をでっち上げるためなら、こんな不作法とトンチンカンが許されるのだろうか。


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