国語演習(中3~高3):「開発空間の暴力」


早大法学部 国語(2016)
荻野昌弘 『開発空間の暴力』より
「著者によるあとがき」がこちらにあります

「生産においては、未来に目標がおかれているため、未来は現在から直線的に拡がっている。
ところが消費においては、未来を現在に引き寄せ、未来を現実のなかに実現させてしまう。」
「消費の時間原則だけに縛られるようになると、「現在」においてすぐに欲望を実現できない場合、暴力を用いてでも、その欲望をかなえようとする。それが、いじめにつながるのである。」

「反対語がないかわいいはあらゆるヒト、モノの形容詞になりうる。」

問三の三・・・甲の根拠
「しかし同時に、かわいいと一言発するだけで、あらゆる批判の可能性は絶たれ、かわいいということばが構築する磁場のなかで微笑まざるをえないような状況をつくり出す。この点で、かわいいは一見無垢に見えながら、そうであるがゆえの権力効果を発揮する。事実、反対語が存在しないのは、かわいいということばが、[]があることを示している。恣意的に選ばれたかわいいものは、それが恣意的な選択であったかどうかという疑問を付されることなく、かわいいものとして認証される。それによって、あらゆる暴力的抵抗を封印しているようにみえる。」

問三の七・・・乙の根拠
記号を読み取るコードが、消費には必要なのである。また、消費はさまざまな「文化」と結びついている。この文化は国民国家と結びついていないため、国境を越えて至るところに拡がる。消費行動のための文化コードは、国家とはまったく別のところで生成しているのである。したがって、ある国家に固有の規範を身につけていなくとも、消費文化のコードは体得可能であるし、また消費社会を生き抜くためにはそれは不可欠でさえある。つまり、消費はより深く人間の実存に関わっている。いかに消費するべきかという問いは、いかに生きるべきかという問いに直結するのである。商品の記号体系が構築されていくなかで、しだいに[]であったかわいいが、記号体型を支えるコードとなり、消費社会そのものを確立させていったのである。

つづく



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